映画『トールキン 旅のはじまり(原題:Tolkien)』(2019)

お盆休みはひたすらグダグダしていたので、最後にちゃんと文化的なことを一つくらいやっておこう~!と思ってこの映画を見てみました。『ホビット』『指輪物語』の原作者である、J・R・R・トールキンの青年期を描いた、伝記的映画です。

-映画『トールキン 旅のはじまり(原題:Tolkien)』(2019) 出演:ニコラス・ホルト、リリー・コリンズ、コルム・ミーニー-

… おぉ、この予告編、ナレーションが浪川さんだ~♪

    

-あらすじ-

イギリスの田園育ちのトールキンは、3歳のときに父を、12歳のときに母を亡くすが、後見人のモーガン神父のおかげで、キング・エドワード校に入学。そこでかけがえのない友人と出会ったり、エディスと恋に落ちたりするが、第一次世界大戦が勃発し、戦地に向かうことに…。

 

-トールキンという人-

トールキンについてですが、まずは『指輪物語』の世界で有名な人ですね。ワタクシも『ロード・オブ・ザ・リング』が映画化されたときに原作を読んだのですが… 長い、長すぎる(汗)、とうんざりしながらも、何とか読み終えた経験が。…その本は、昔の職場の人に貸したまま返ってきてない(汗)。

ちなみに今回の映画には、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』について、「指輪の話に6時間はありえないだろう」と言うシーンがあるのですが、アナタの指輪の話も大概長いわよ!とツッコミを入れたのはワタクシだけではないはず(笑)。

*『ニーベルングの指環』とは、リヒャルト・ワーグナーが書いた楽劇(ワーグナーは自身のオペラをこう呼んだ)で、『ラインの黄金』『ワルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』のすべてを上演するには、4日間15時間をかけるのが普通。…「ワルキューレの騎行」はおそらく誰でも聞いたことがあるのでは?ストーリーは、北欧に伝わる神話、アーサー王伝説絡みの話を多く含んだ内容。

加えて、大学の英語(リーディング)のとき、テキストが『The Hobbit(ホビットの冒険)』だったので、授業であれこれ学びました。記憶が定かであれば、トールキンはオックスフォード大学の言語学の教授で、戦火などで書籍が残っていない期間は、言語の変遷が途切れしまっているので、もしその間の時代の作品が残っているとしたら、こんな言語が使われていただろう、という言葉を意図的に用いて物語を書いたとのこと。また、エルフ語など、オリジナル言語も多数収録。

ちなみに、トールキンの教え子の一人として、『ハウルの動く城』の原作を書いたダイアナ・ウィン・ジョーンズがいます。あと、余談ですが、講師の先生が、小柄で、いつもサスペンダーを付けていて、ホントにホビットみたいな感じだったのが印象的でした☆… 『指輪物語』が好きすぎて、アイスランド語を学びに行った、とかおっしゃっていましたよ☆

 

-感想-

実はモーガン神父を演じる人に見覚えがあり、わ~この人、『新スタートレック』で見てた人だ、なんて役だったっけ?全然思い出せなーい!ということで、映画を一旦止めて検索… 転送主任オブライエンを演じていた方だと判明!という感じでスッキリしてから続きを見ることに(笑)。

端的に言うと、ちょっとあっさりしていたかな、と。ある青年の青春時代、という感じで、トールキンの作品を読んでいない人にとってはそれで十分かもしれませんが、全体的には、恋愛、そして戦争がメインであるという印象を受けるので、ホビット族の姿が目に浮かぶようなことはなかったですね。…まあ、仲間意識はホビットか。あと、ドラゴンを想起させるシーンはちょこちょこあります。

加えて、従軍経験が人生に影響を及ぼすということに関しては、わりと最近、『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』という映画を見たこともあり、かぶるシーンがたくさんあって、それも若干印象を薄めてしまう原因になったと思われます。…印象深い映画だったのに、感想書いてないな(汗)。

*J・D・サリンジャーは、『ライ麦畑でつかまえて』で有名なアメリカの作家。太平洋戦争の最前線で戦い、戦後はPTSDに苦しみながらも上記の作品を書き、ベストセラー作家になった。

-いろいろビックリ-

この記事を書くためにあれこれ検索していたら、ワタクシ的に驚きの事実が次々と発覚!

まずは、上記サリンジャーの映画でサリンジャーを演じていた俳優さんと、今作でトールキンを演じていた俳優さんが同一人物であることが判明!…そりゃ、印象がかぶるわけだわ(汗)。というか、同じ人だと気づきなさいよ(汗)。

続いて、トールキンの作品の画像を貼り付けようとamazonさんで検索したら、『サー・ガウェインと緑の騎士:トールキンのアーサー王物語』がヒットして、あ!これ中世英文学史のレポートのときに使った本だ!と懐かしく思い出しました。

確かに、今回の映画の中で、トールキンが言語学の先生のクラスに入れてもらおうと嘆願したとき、「ガウェインについてレポートを提出するように」言われる場面がありました!…よく見たら、わざわざ「トールキンのアーサー王物語」って書いてあるわ(汗)。←気づくの遅っ(汗)。

*サー・ガウェイン(ガウェイン卿)はアーサー王の甥で、真面目なところが、フランスのイケメン&モテまくる&腕が立つ騎士ランスロットと対照的。緑の騎士が仕組んだ罠にかかることなく、終始騎士らしい振る舞いをする。

 

-まとめ-

ということで、映画自体の評価は☆☆☆彡3つ半。いろいろひっくるめての評価は☆☆☆☆彡4つ半。

何事もそうだと思いますが、一見関係なさそうな事柄同士が結びつく瞬間、大きな感動が得られますね!それが学問である場合、更なる感動を得るために、もっと勉強したいって思える!

と、大分話はそれておりますが(笑)、トールキンは苦労もしたけれど、かけがえのない人々との出会いがあり、『指輪物語』の世界を描いたということがよく分かりました。…う~ん、『ロード・オブ・ザ・リング』また見てみる!?エクステンデッド版というのが、最近WOWOWさんで放送されているのですが、見たことあるのかな?覚えてないな。

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