書籍:『法を学ぶ人のための文章作法』&法律学のレポートの書き方(模索中)

法学部に入学して1年半。多分法律学のレポートを書くためのお作法があるのだろうとは思いながら、なんとなくレポートや試験に合格しているので、これでいいのかなぁ~?とふわふわモヤモヤしながらレポートを書く日々が続いていました。

でも、労働法のレポートが初めての不合格で、細かいコメントをいただいたこと、刑法総論の「レポート作成上の注意」に、参考文献として挙げられていたことから、この本を読んでみることにしました。

ちなみにワタクシは、慶應義塾大学文学部(フランス文学)を通信教育課程で卒業し、現在は、慶應義塾大学法学部甲類(法律学)の通信教育課程で学んでいます。

もともと、中高生のときは、公民とか、現代社会にあまり興味を持てず、へなちょこな点数しか取れなかったので敬遠し続けた結果、すっかり世間知らずな人になってしまったので、ちゃんと学んでみよう!と思って今に至ります(笑)。

-井田良ほか『法を学ぶ人のための文章作法』(有斐閣、第2版、2019)-

この本は、法律家はどういう文章を書くべきか、という法律学を学ぶ人に向けての章の他、一般的に大学生としてレポートを書くための基本技術、そして最後がそれらをふまえた演習編となっています。全体的にわかりやすく、そして多くの演習問題(もちろん解答例つき)で具体的に説明してくれるので、初学者にはおすすめです。もちろん、大事なポイントである、引用の仕方、参考文献の書き方、なども書いてあります☆

特に、レポートを書くための技術として、「紙とペンで字を書く練習」をするようにということを強調してくる点は、ワタクシ的に心当たりがありすぎました。…普段ペーパーレス生活を送っているおかげで、英検のライティングで惨敗した経験あり(汗)。

ただ、すぐれた法的文章の形式的条件として、「正確性、平易性、論理性」が挙げられているのですが、先日の労働法のレポートでいただいたコメントからすると、平易な文章がよいというわけではなさそうです。そして、この本はあくまでも初学者のためのもの、つまり合格できるレポートは書けるようになるかもしれませんが、いい成績を収めようとか、論文を書こうと思ったら、これだけでは足りないような気がしました。

 

-+αポイント-

・テーマを定めるべし

たとえ法律用語の説明が求められていたとしても、その分野に何かしらの問題意識を持ち、論理を展開する必要があります。

文学部のレポートは、「〇〇(作品)について論じなさい」という形式のことが多いので、おのずと、何かしらのポイントを自分で見出して、それについて書くことになるのですが、法学部のレポートは、まさしく法律用語の説明が問題として課されていることもあり、ともすれば、参考文献の解説や判例を書き写すだけ… しかもそれだけで結構字数が埋まる(汗)、になってしまい、これがワタクシ的に「これでいいのかなぁ~?」につながっていたのであります。

でも、問題提起を自分でしていい!ということになったら、ワタクシ的にはそちらのほうが慣れているし、しかも楽しいので!かなり気が楽になりました☆

…ちなみに「文学のレポートの書き方」という記事を以前書いておりますので、よろしければどうぞ。←何気にこれが、ウチのサイトの一番人気☆

 

・口語表現厳禁

論文である以上、カチッとした文章で書く必要があります。簡単にいうと、書き言葉と話し言葉は使い分けましょう、しかも法律学の分野でよく使われる表現技巧を使いましょう、ということです。

ちなみにレポートのコメントには「提出者は論文・リポートの類を書き慣れていらっしゃらないご様子で…」と書かれていて、いや、一応文学部を卒業してるんですけどね~、しかも卒業論文は「A」(当時の最高評価)をいただいたんですけどね~とか思いましたが(笑)、「法律学のレポート」を書き慣れていないのは事実。

というかそもそも、テキストや参考文献、判例などを読むだけでも、普段使う言葉遣いとはかなり違うので、最初はかなり苦戦しました。でも文学部時代、最初は2段組みの本を見るだけで、圧倒されて読む気が失せていたのですが、そのうち3段組みでも平気になりましたし(笑)、もうその辺は慣れていくしかないんでしょうね。法学部でも、最近判例をたくさん読む機会があって、それによりどこをじっくり読めばいいのかコツがつかめてきましたし、回りくどい言い方(例えば二重否定)なども、早く理解できるようになってきました。

だからつまりは、インプットを多くすることが大事ですね。

…ちなみに、ワタクシは家庭教師の仕事をしているので、普段は難しいことをいかに簡単な言葉で説明するかに、全力を注いでいるわけですよ。だから、真逆のことをするのは結構ムズカシイ(汗)。

 

・法的三段論法を徹底すべし

法的三段論法とは、まず大前提として法規(条文等)を挙げ、小前提として具体的事実を挙げ、最後に結論として法適用の結果を書く、という論法です。事例問題で考えると、わかりやすいと思います。

例えば、

大前提:人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
小前提:AはBを殺した。(ここで事例を検証する)
結論:よってAは、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処せられる。

という展開です。

ちなみに刑法総論のコメントでは、十河太朗『刑法事例演習』(有斐閣、2021)、只木誠編著『刑法演習ノート 刑法を楽しむ21問(弘文堂、3版、2022)をおすすめしていただきました。(後者は新しい版が出ているようなので、そちらを書いておきました)

論文とかレポートとかって、つまりはが重要なんですよ。文学部の卒論指導のときも、内容のことよりも見た目についてのご指摘をたくさんいただいたのですが、要は体裁が整っていないと、その道の専門家には逆に読みにくい文章になってしまうんですよね。

…ワタクシも、高校生の小論文の添削をすることがあるのですが、誤字脱字が多かったり、言葉遣いや論理展開が気になったりすると、それだけでもう全然内容が入ってきませんからね(汗)。

だからこれも、まずはお手本となるような文章(解答)を読んで、それを真似していくことが大切だと思います。あと、レポートでコメントを頂いたときには、それを参考にすることは言うまでもありません。

 

-そして模索は続く-

合格レポートって、コメントがほとんどないんですよね。だからどこがいいとか悪いとかがよくわからないままになってしまうんです。よって、今回の不合格レポートはありがたかったですし、いただいたご指摘をふまえて、代替レポを提出することもできました。

やっと、いろいろモヤモヤしていたところがスッキリしたのと、法律学のツボなるものも分かってきて興味が膨らんできたこともあって!これからはもっと楽しくレポートが書けそうな気がしてきました。

…いや、ね、刑法総論って、必修科目ではあるけど、配本が3年目だから、入学当初は「テキスト科目履修要領」の該当欄を全然見ていなかったんですよ(汗)。早めに読んでおけばよかった… との自戒も込めて、これから法律学を学ぶ人のための参考になればいいと思って、今回の記事を書いてみました。

現在は、刑法総論の再提出レポを作成中です。そして、改善点がうまく評価されたら!その節は、新たな記事… 「法律学のレポートの書き方(完全版)」とか(笑)?を書きたいと思います☆

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