映画『白鯨との闘い』

さて、やっと辿り着きました(笑)!いよいよ映画の感想です。

白鯨との闘い [Blu-ray]

とはいえ、この映画は、『白鯨』を映画化したものではなくて、メルヴィルが巨大なクジラに襲われたエセックス号の生存者に、実際にあった出来事を聞きに行き、それを元に『白鯨』を書き上げる、というストーリーです。

ポイントとなるのは、生存者であるニッカーソンは、メルヴィルに、「あなたの期待には応えられない話で申し訳ない」的なことを言うところ。そうです、太平洋のど真ん中でクジラに襲われ、何ヶ月も漂流してやっと帰還できたとなると、さぞかし激しいバトルが繰り広げられ、スリルとサスペンスを味わったんだろう、という想像をしてしまいますが、事実は意外と地味…いや、それは予想とは違うレベルで過酷な闘いが繰り広げられたということだったんですね。そういう意味では、メルヴィルの『白鯨』も、バトルシーンよりは、クジラの生態などの描写にページの多くが割かれている点に関して、予想を裏切る展開かもしれません。

とはいえ、さすが映画!小説では伝わらない情報をたくさん与えてくれます。そもそもワタクシは、捕鯨というものがどういうものかよく分かっておらず(汗)、どうやってクジラを仕留めていたのかがうまく想像できなかったのですが、予想を遥かに上回る危険な行為でした!それこそ、『ジョーズ』を見ているかのようでしたよ。あんなにも大きなクジラに、あんなにも小さな船で挑むなんて、生き返ってくるのが奇跡です。

そして漂流シーンでは、『ライフ・オブ・パイ』みたいな感じでしたが、あの映画はいろいろと深くてインパクトが大きすぎたので、それに対してこの映画ではさほど驚きはありませんでした。それでも、あのシーンは…、見てて辛いものがありましたね。やっぱり、そういうときこそ試されるのが人間性で、一等航海士は魅力的な人物でした。…スターバックさんのモデルとなった人ですね☆

余談ですが、この映画に出てくる白鯨は、ホントに不気味でした。あまり白くなくて、傷だらけなところもリアルでした。でも、ワタクシ、シロイルカは大好きなんですよ!…おっきい抱き枕がいるくらい(笑)☆ そして、イルカとクジラって、サイズで分類しているだけで、種類としては同じなんですよね…でも、あの白鯨くんは嫌だなぁ。怖すぎる。。。

ということで、メルヴィルの『白鯨』を振り返るきっかけにもなり、捕鯨シーンを見ることもでき、オクラは英語だったんだということを知った(笑)!興味深い映画でした。…でもあんな、太平洋のど真ん中で漂流なんてしたくない。。。生きているって、素晴らしいことですね。

あ、ちなみに、今検索してみたら、船長さんの吹き替えは置鮎龍太郞さんがされているんですね!来週WOWOWさんで、吹き替え版が放送されるようなので、サクッと予約しておきました☆…船長さん、かなりイヤなヤツだけどね(汗)。

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ハーマン・メルヴィル『白鯨』

バイトを卒業してから、早起きをしなくてもよくなったので、体調がよくなりました~。毎日ゴキゲンです←完全夜行性☆

白鯨 上 (岩波文庫)

白鯨 下 (岩波文庫)

さて、本日は、世界の名作の一つに数えられる、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』についてです。ワタクシが最初に『白鯨』のことを知ったのは、映画『スタートレック:ファーストコンタクト』を見たときです。ボーグに同化されて以来、復讐の炎を燃やし続けるピカード艦長が、「まるで、エイハブ船長のようだ」と言われ、我に返るシーンがあるのですが、当時のワタクシには意味が分からず、何のこっちゃ???と。

そして月日が流れ、先のEスクーリングで『白鯨』と出会い、そのときに初めてちゃんと読みました~。

あらすじは、白いマッコウクジラ、モービー・ディックに片足を奪われたエイハブ船長が、復讐に燃え、執拗に追いかけるものの、結局命を落としてしまう、というものなのですが、実は、ストーリーよりも、クジラの生態や、捕鯨船の事情についての描写が物凄く多く、物語を読んでいるというよりも、百科事典でも読んでいるかのような感じです。…『カルメン』の原作は、半分民俗学についての記述になってる、のと似てますね☆ でも、ワタクシ的には全然退屈せず、興味深く読むことが出来ました。

ということで、要点としては、追いかけすぎると、身を滅ぼす結果になる、という戒めが書かれている分かりやすい物語なのですが、普遍的であるがゆえに、大統領を風刺するときのネタに使われたり、911で、ワールドトレードセンターに旅客機が突っ込むシーンを、これになぞらえた人も多かったようです。

また、クジラと人間とのバトルはスリリングだからか、これまでに何度も映像化されています。…ピカード艦長を演じたパトリック・スチュワートが、エイハブ船長を演じたドラマもあるそうです!めっちゃ見たい☆しかし、中には、エイハブ船長が勝利を収めるという、ハッピーエンディングもあるようですよ…ここまで来ると、二次創作のいいネタですね☆ それは、名作であるという評価の裏返しでもあると思います☆

ちなみに、余談ですが、エイハブ船長が乗り込むピークォド号の一等航海士は、スターバックと言います。はい、かの有名な…ワタクシも大好きな、スタバの店名の由来となっています☆ ただし、作品の中には、スターバックがコーヒーを飲むシーン、ましてやコーヒー好きだなどという描写は全くありません。単に、創業者が、キャラを気に入ってその名前をつけた、ということのようです。スターバックは有能で、暴走する船長を止めようと頑張るのですが、結局は運命をともにしてしまう…。何とも切ない。

そういう感じで、話が一人歩きしてしまうということに関してもう一つ。実は、モービー・ディックは、それほど白くないみたいです。邦題の『白鯨』の印象もあるから、本当に真っ白なアルビノのクジラを連想してしまう人が多いようで、挿絵などでも白く描かれていることが多いのですが、作品の中でも紹介されているように、表面は傷だらけで、わりと灰色がかっているとか。本当に、そのクジラを不気味な存在に仕立て上げているのは、作者ではなく、読者のほうなのでしょうね。

そう考えると、名作と呼ばれるための条件として、完璧すぎないことが重要なのではないでしょうか。はっきり言って、『白鯨』は長いので、普通の人は手に取りにくい本です。でも、ちゃんと読んだことはなくても、多くの人が知っていて、また読者が勝手にアレンジして、それが一人歩きする、そういう題材を提供すること自体が素晴らしいのです。…ということが、世界各国のいろいろな文学作品に当てはまる、というのを知りました。

でも、それにしても、『白鯨』という邦題はインパクトがあっていいですね。『星の王子さま』と匹敵するくらい素晴らしい!機会があればぜひ読んでみてください☆

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アメリカ文学史(17c-19c)

『白鯨との闘い』の感想の前置きとして、今回はアメリカ文学史のことをさらっておきましょう~。

ワタクシは、2008年の巽先生の夏のスクーリングを、インターネットで配信したもので受講しました。ちなみにそれが、慶應通信初めてのE-スクーリングだったんですね。だから、レポートの締め切りがいつなのか、とかが開講後にしか知らされなかったりして、ワタワタしながらまとめて見て、必死でレポート提出!でもそしたら、次の日に先生から直々に講評をいただいて、それ以来すっかり巽先生のファンになってしまいました~☆ 先生、仕事が早いっ(感激)!

アメリカ文学史は、17世紀の、ピューリタニズム(Puritanism)から始まります。巡礼の父祖たち(Pilgrim Fathers)と呼ばれる、ピューリタンの人がヨーロッパから渡って来て、アメリカとしての歴史が始まるので、自ずとその文学も、宗教性を帯びています。

例えば、キリスト教に回心するまでの経緯(Conversion Narrative)や、インディアンに捕囚されたけれど、信仰心があったので帰ってくることが出来たという経験(Indian Captivity Narrative)を語ったりして、物語ができあがります。そしてその物語を流布することで、信仰心をより根付かせようとします。また、アメリカには神話がないので、聖書の物語をなぞらえて、自分たちの行動を正当化したりしたようです。例えば、ヨーロッパを追われて新大陸に渡ってきたことを、出エジプト記になぞらえるとか。

しかし、1692年マサチューセッツ州のセイラムで、いわゆる魔女狩りが起きて、宗教で人を押さえ込むには限界があることが露呈します。もとは、黒人女性が子どもを楽しませるために、ブードゥー教の降霊術めいたことをしていただけなのですが、それが異端だ!ということになり、結果的に150名以上が魔女として告発され、19人もが処刑される事態に発展します。

キリスト教は、信者以外は異端とみなし、排除しようとします。その考え方は、赤狩り、エイズ患者や同性愛者を排除しようとするなど、今も受け継がれています。日本人は、外国からの影響を取り込むのが上手だというのとは対照的ですね… ま、日本は島国だから、外からの影響を拒むという選択権があるという事情の違いもあると思いますが。

ということで、18世紀になると、啓蒙主義思想が起こったこともあり、信仰心が喪失します。例えば、アメリカの100ドル紙幣に描かれている、ベンジャミン・フランクリンは、雷の正体が電気であることを発見します。こうして、世の中の現象が科学で説明できるようになってくると、神が必要なくなっていったんですね。よって、トマス・ジェファソンは、聖書から、神がかり的な要素を排除したものを出版したりしています。

ベンジャミン・フランクリンという人はかなり面白い人なので、それはまた別の機会に書きますけど、アメリカ建国の父祖たち(Founding Fathers)の一人として、アメリカ独立にも携わった人です。よってこの時代には、文学的にも、束縛から解放されて、独立を目指すという内容のものが多く見受けられます(Republicanism)。そもそも、ジェファソンが原案を書いた、「アメリカ独立宣言」自体も、文学として面白いですよ。それもまた別の機会に。

そして19世紀になると、独立して、東海岸から徐々に西海岸のほうへ領土を拡大していく、という物理的な変化とともに、精神的にも、枠組みを超えるようなものが見られるようになります。いわゆる、膨張主義(Expansionism)、超越主義(Transcendentalism)と訳されるムーブメントです。

例えば、エドガー・アラン・ポーは、『モルグ街の殺人(The Murders in the Rue Morgue)』という世界最初の推理小説を書きます。いわゆる、密室殺人です!しかも、犯人はオラウータン(衝撃)!

ポーについてもレポートを書いたので、その話もまた別の機会に。

そして、やっときました、この時代の代表作の一つとして、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』があるんですね。モービー・ディックを執拗に追いかけていくエイハブ船長の姿は、西へ、西へと領土を求めていく姿と重なるところがあります。しかし、結局エイハブ船長は闘いに敗れ、命を落としてしまいます。そのことは、トランセンデンタリズムにも限界があることを示しています。

ということで、押さえ込まれていた人たちが、自ら立ち上がり、どんどん成長&拡大していくというアメリカ文学の変遷は、いかがでしたか?かなり分かりやすいですよね☆ とはいえ、スクーリングの資料はほとんど英語だったので、DLしながらおののいていましたが、いやはや、慣れるもんですね(笑)。それと、動画を見ながら、何度かパソコンが固まったので、イライラして新しいパソコンを買っちゃったのもこのEスクのときでした(笑)。ということで、次回は、メルヴィルの『白鯨』を紹介しようと思います。

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