ハーマン・メルヴィル『白鯨』

バイトを卒業してから、早起きをしなくてもよくなったので、体調がよくなりました~。毎日ゴキゲンです←完全夜行性☆

白鯨 上 (岩波文庫)

白鯨 下 (岩波文庫)

さて、本日は、世界の名作の一つに数えられる、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』についてです。ワタクシが最初に『白鯨』のことを知ったのは、映画『スタートレック:ファーストコンタクト』を見たときです。ボーグに同化されて以来、復讐の炎を燃やし続けるピカード艦長が、「まるで、エイハブ船長のようだ」と言われ、我に返るシーンがあるのですが、当時のワタクシには意味が分からず、何のこっちゃ???と。

そして月日が流れ、先のEスクーリングで『白鯨』と出会い、そのときに初めてちゃんと読みました~。

あらすじは、白いマッコウクジラ、モービー・ディックに片足を奪われたエイハブ船長が、復讐に燃え、執拗に追いかけるものの、結局命を落としてしまう、というものなのですが、実は、ストーリーよりも、クジラの生態や、捕鯨船の事情についての描写が物凄く多く、物語を読んでいるというよりも、百科事典でも読んでいるかのような感じです。…『カルメン』の原作は、半分民俗学についての記述になってる、のと似てますね☆ でも、ワタクシ的には全然退屈せず、興味深く読むことが出来ました。

ということで、要点としては、追いかけすぎると、身を滅ぼす結果になる、という戒めが書かれている分かりやすい物語なのですが、普遍的であるがゆえに、大統領を風刺するときのネタに使われたり、911で、ワールドトレードセンターに旅客機が突っ込むシーンを、これになぞらえた人も多かったようです。

また、クジラと人間とのバトルはスリリングだからか、これまでに何度も映像化されています。…ピカード艦長を演じたパトリック・スチュワートが、エイハブ船長を演じたドラマもあるそうです!めっちゃ見たい☆しかし、中には、エイハブ船長が勝利を収めるという、ハッピーエンディングもあるようですよ…ここまで来ると、二次創作のいいネタですね☆ それは、名作であるという評価の裏返しでもあると思います☆

ちなみに、余談ですが、エイハブ船長が乗り込むピークォド号の一等航海士は、スターバックと言います。はい、かの有名な…ワタクシも大好きな、スタバの店名の由来となっています☆ ただし、作品の中には、スターバックがコーヒーを飲むシーン、ましてやコーヒー好きだなどという描写は全くありません。単に、創業者が、キャラを気に入ってその名前をつけた、ということのようです。スターバックは有能で、暴走する船長を止めようと頑張るのですが、結局は運命をともにしてしまう…。何とも切ない。

そういう感じで、話が一人歩きしてしまうということに関してもう一つ。実は、モービー・ディックは、それほど白くないみたいです。邦題の『白鯨』の印象もあるから、本当に真っ白なアルビノのクジラを連想してしまう人が多いようで、挿絵などでも白く描かれていることが多いのですが、作品の中でも紹介されているように、表面は傷だらけで、わりと灰色がかっているとか。本当に、そのクジラを不気味な存在に仕立て上げているのは、作者ではなく、読者のほうなのでしょうね。

そう考えると、名作と呼ばれるための条件として、完璧すぎないことが重要なのではないでしょうか。はっきり言って、『白鯨』は長いので、普通の人は手に取りにくい本です。でも、ちゃんと読んだことはなくても、多くの人が知っていて、また読者が勝手にアレンジして、それが一人歩きする、そういう題材を提供すること自体が素晴らしいのです。…ということが、世界各国のいろいろな文学作品に当てはまる、というのを知りました。

でも、それにしても、『白鯨』という邦題はインパクトがあっていいですね。『星の王子さま』と匹敵するくらい素晴らしい!機会があればぜひ読んでみてください☆

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください