ジュール・ヴェルヌ『地底旅行』

仕事の合間にボチボチ読み続け、先日やっと読み終わったこの本を!

この本を読もうと思ったのは、最近実用書ばっかり読んでいるから、小説を読みたいなぁ~と考えていたある日、ワタクシが大好きな番組『コズミックフロントNEXT』で、ジュール・ヴェルヌが紹介されていて、Kindleで検索、Unlimitedで読めるもの!でたどり着いたからです。おまけにフランス文学だし、いいね☆ (←大学の専攻はフランス文学でした)

ストーリーは、タイトル通り、教授と甥っ子が地球の中心がどうなっているのか探検しに行く、という内容。

あらすじは何となく知っていましたし、映画『センター・オブ・ジ・アース』も見たことがあったので、ストーリー自体にさほど驚きはなかったのですが、凄いと思ったことの1つめは、

読みやすい☆

ということ。この本、「光文社古典新訳文庫」から出てまして、大学在学中にも、この文庫から何冊か読んだことがあるのですが、訳が新しくて読みやすいんですね。

しかも、映画を見たときは単に楽しい娯楽映画☆ という感じで見て、あまり印象に残っていませんが、この本からは、地底旅行がいかに大変だったかということがひしひしと伝わってきました。また、探検を続けるうちに出逢う様々なものが、ホントに眼前に浮かび上がってくるかのようで、映画を見たときよりもはるかに興奮しました!

しかし、ワタクシがそれよりも感銘を受けたのは、

注釈&解説の充実度☆

です。『地底旅行』が発表されたのは、1864年ということで、科学がさらに進んだ現代のワタクシたちから見ると、明らかに間違っていることもいろいろとあるわけですよ。そこでこの訳者さんは、ヴェルヌの記述と現代科学から導き得たデータが適合しているのか、また当時はどのように考えられていたのかを実に細かく調べ、注釈をつけてくださっているので、本編の内容よりも、注釈を読むのが楽しい感じでした(笑)。

そのあたりはやはり、文学部としての血が騒ぎますよね(笑)。レポートや卒業論文を書くときに、参考文献をいくつも当たって詳しく検討して、原典の謎を解き明かしていく。その楽しさを覚えてしまったら最後、原典を素直に楽しんで読むことなど二度とできません(笑)。この『地底旅行』はツッコミどころ満載で、格好の餌食です(笑)。

もちろん、ヴェルヌの知識も相当のものですよ!柱状節理とか… 「ブラタモリ」で覚えました(笑)、タモリさんがお好きそうな、地質の話がすごくたくさん出てきますし、当時はダーウィンの進化論が発表されてからさほど年月は経過していないのに、それを取り入れていますし、単なる冒険としてだけではなく、理科のお勉強としても非常に充実しています。

しかし、それだけではありません!ヴェルヌは、実際に科学で証明されていることを取り入れつつも、きちんと空想を取り入れていて、そのバランス感が実に素晴らしいんですね。

空想が取り入れられているのは、主に、地中の話です。…ネタバレになりますが、ワタクシも、地中にそんな空洞があるとは思えない、、、なぜそこに人骨が?恐竜の骨が?と思って読んでいたのですが、解説を読んでスッキリです!地球の中心へ向かう竪穴が、そのままタイムマシンの役割を果たしていると!!!

…ホントに少しずつ、長い月日をかけて読んだので、そこまで話にのめりこんでいなかったみたいですね、気づきませんでした(汗)。解説を読んで、そういうことか!!!と、思わず拍手したい気分になりましたよ(笑)☆ ホントに文字通り、人間のルーツを掘り下げる旅というわけですね!ほぉ~!これには、ヴェルヌにも、そして訳者さんにも感服!

古典的SF小説の楽しみ方といえば、作者の先見の明がいかほどかということで、作品の中で描かれている未来と現代を比較する、いうことも当然あるわけですが… 例えば、『2001年宇宙の旅』には、もちろん当時はなかった、自動ドアとか、クレジットカードとかが登場しているんですよね、…でもこの作品では、そもそもの発想が独創的で、最近実用書ばかり読んでいたワタクシには、新しい酸素が脳内に取り込まれてリフレッシュされたような気分になりましたよ~。

ということで、評価は☆☆☆☆4つ。教授の偏屈さにちょっとイライラしましたが、『地底旅行』は、決して時代遅れというわけではなく、古典的SF小説として、様々な楽しみ方を秘めた良書でした。やっぱり、小説を読むのは面白いですね~!これからもボチボチ読みましょう☆

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください