村上春樹『騎士団長殺し』

先日の、名古屋と大阪へのお出かけにより、読み終えました。…そういえば、『1Q84』は高知と大阪で読んでたなぁ~。お出かけしながら読書っていいですね☆

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

はさておき、久々の長編である今作ですが、痛かったですね。ま、あんまりネタバレにならないように書こうと思いますが、登場人物たちが体験した、避けては通れない強烈な体験って、ワタクシにはもれなく、卒論だったわけで。やっと無事に卒業できたわけですけど、心から晴れやかな気分かと聞かれると、必ずしもそうではないわけで。

ホントに、卒論提出前の3ヶ月は、我ながら異常とも言える時期でした。もちろん、仕事には行っていたので、現実世界に身を置いていることには違いないのですが、それはある意味分身とも言えるもので、本来のワタクシは、現実世界から離れて、今までの学生生活、ひいては今までの人生を全部掘り下げるような、孤独な旅に出ていました。思い出すだけで泣けてくるほど、辛く、キツイ毎日でした。

でも同時に、卒論が提出できなくて、卒業が遅れるかもしれない、なんてことは一度も思いませんでした。それこそ、今までの人生は、この卒論を書くためにあったのではないかと思えるほど、すべてのことがそこに集約されていったので、書くことがワタクシの使命、みたいな気がしました。これを書いて、次に進むのだと。

誰の人生にも、そういう、痛くて、辛い時期ってありますよね。でも、それを乗り越えた先にあるものは、決して栄光ではなく、それまでと全く変わらないただの日常であったり、逆に、もう戻れないパラレルワールドであったり。…ワタクシの場合は、あの体験のおかげで、すっかり価値観が変わってしまいました。以前好きだったことに興味を示せなくなり、というかむしろ、今までとは決別して、新しいことをやってみたいと思うようになってみたり。

でも、そんな、人間の些細な変化には関係なく、新しい毎日はやってくる。ただそれだけ。…いいんだか、悪いんだか。何だか、折角閉じかけてきた傷跡をえぐられたというか、辛い毎日を追体験したような気分で、騎士団長なみに胸から大量出血しています(苦笑)。でもまだ、作品の一部しか消化できていないので、また感じ方も変わっていくとは思いますけどね。

という感じで、ブログも心機一転!ボチボチ書いていきます☆